自分で投げたブーメランが、自分の元にきちんと戻ってくる。
しかもアナログで。
それは日曜日のお昼過ぎでした。
ワンダーコンパスでお仕事していた時でした。
「ラクテンチから昔のケーブルカーが通ってた道を登って志高湖まで行ける道があるって聞いたけど」
その道は先日、山歩きのプロ・キリコさんと一緒に入口を確認して草ボーボーだったし、トライしたキリコさんが「危ない」と言っていたのでそう告げた。
アウトドアの達人らしき風貌のその男性は私をチラリと見て
「この素人に何がわかるか」と言いたげだった。
聞けば5月の初めにワンダーコンパスに寄ってからずっと歩いてるとのこと。。。
「え!ずっと?いったいどこを歩いたんですか!!!」
こう見えても私、去年一年、アウトドアガイドブック製作のため、多少なりとも山を歩き、実際に歩いてきたムンさんの動画を見ながら地図を描いたのだ。
このアウトドアの達人のお方の話す道がすべてわかり、ここで寝た、ここがいい景色だった、という休憩所の場所も詳細にわかるのであった。
そのお方は、パンフレットラックに置かれているビーベップ製作の「Wonders of Oita アウトドア編」を見つけた途端、愛しそうに「これこれ!これのおかげで迷わず歩けたよ!」とページをめくり始めた。
日出の案内所で「wonders of Oita」を見つけて、こんなキレイな分厚い本が無料だということに驚いたという。それからそのガイドブックに載ってた「鹿鳴越山」を縦走し、その後に「国東ロングトレイル」を全コース制覇。さらに国東半島を一周して……もう気が遠くなりそうであるが、これから志高湖まで歩いて行くという。
ワンダーコンパスの入り口に置いていた30kg以上あるという荷物の小さなファスナーを開くと「wonders of Oita」から破り取られたページが小さく折り畳んで入っていた。
「作った人に悪いけど荷物になるから、まだ行ってないところだけを破り取ったんだ」と申し訳なさそうにいうアウトドアの達人様。
山の中を1ヶ月以上も歩き回るお方が小さく折り畳んで大切に持ち歩いてくれるようなアウトドアガイドブックを作った自分が誇らしく、味わったことのない感動が身体中に染み渡った。
「今日は5ページの⑧番で寝ようと思ってるんだ」と言い残して大きな荷物を抱えて歩き始めた達人様。
お気をつけてと見送りながら「5ページの⑧番」を見てみたが、
「そこ、寝るところじゃねーよー」とつぶやきながら、贅肉が一切ついていない後ろ姿をいつまでも見送った。
↓ちなみにこの本!