絶景だけではない「鶴見山ロープウェイ」

三連休のなか日に台風が来たりすると、自然には逆らえないなぁと考えたりする。

別府温泉の神である鶴見山、その山の頂上まで簡単に登れるロープウェイは海外からのお客様にも大人気。

 

「毎日お客様多いですねー」と私。

「いやいや、今年の夏は天候が悪くてなかなかいい日がなかったんですよー」と社長のお返事。

 

仕事でロープウェイに乗せてもらうことになった日はあいにくの雨。

それでも少し晴れ間が見えて来たので「乗車しますか」となった。

 

風の音と少し揺れるロープウェイ、雲の隙間から見える別府湾と見下ろす町。なかなかのスリルと絶景であった。

頂上に近づくと辺りは真っ白で完全に雲の中。遠くからの雷の音を聞くと、同行していた社長は操縦室に足早に入っていった。

 

「ロープウェイは雷が通り過ぎるまで運転を見合わせます」とのアナウンス。

「登山だったら大変なことだったなー」と考えながら、のんきに「一の宮」に参ったりして雲の上の頂上を楽しんでいた。

 

30分後に社長が戻ってきて「やっと雷が遠のいたので、今が下山のチャンスです。」

学生の団体を誘導して一緒にロープウェイに乗り込んだ。行きとは違い都会の満員電車のような車内で下山を始めた。

 

雲が去って晴れてきているようにも感じたので、誰かが「もう少し大丈夫じゃない?」と言ったが、社長は「これを逃したらもう降りられないかもしれませんから」と強い口調で返答した。

 

10分の運転で地上へ。

ロープウェイから降りて行く学生たちに深々と頭を下げて、「本日は天候が悪くて大変申し訳ありませんでした」いつの間にか受付の人も駆けつけてみんなで頭を下げている

「せっかく楽しみにして来てくれたお客様には本当に申し訳ない」とのこと。

その時、頂上での社長の様子を思い出した。

 

人命を預かっているロープウェイだからこそ、悪天候での運行の判断は重要。そして、お客様を安全に地上に下ろした時の安堵感と、また天気のいい日に来て欲しいという願いを込めての社員全員でのお詫びのご挨拶

 

「自然が相手だから仕方がない」のだが、そうではなかった。

晴れの日の別府湾と久住連山よりも美しいものを見た気がした。

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